意外と知らない"学校教材"(理科編)(vol.1)

意外と知らない学校教材(理科編)(vol.1)

「カエルのホルマリン漬け」や「静電気を発生させる装置」、学校でしか見ることのない特殊なものはどこで売っているのか? また、値段はいくらなのか? 何個くらい売れているのか? 百貨店やコンビニには決して売っていない特殊な商品「学校教材」。現役の先生にもきっと役立つ情報も含めて、全3回にわたって「学校教材」のオモテ話・ウラ話をご紹介します。今回は学校教材の中でも、特に商品点数の多い「理科」を中心にお話しさせて頂きます。

購入方法 ~学校教材はどこで買えるのか?~

学校教材が無い学校を探す方が難しいですが、いざ街中で同じものを購入しようとした時、どこに売っているのかさっぱり見当もつきません。

ビーカー、フラスコといったガラス器具やリトマス試験紙などの消耗品、小型地球儀や子ども用顕微鏡といった類は、東急ハンズやロフトなど小売店の科学教材コーナーで見掛けることもありますが、つり合いを学ぶ「実験用てこ」や水の電気分解に用いる「電解装置」、ホルマリン漬けの「カエルの解剖標本」、三葉虫とアンモナイトが人気の「化石標本」といった、誰もが一度は目や手にしたことのあるようなものであっても、多くの学校教材は街中で見掛けることはまずありません。

では、学校の先生はどのように学校教材を購入するかというと、ほとんどの場合は教材メーカーが発刊しているカタログ(国内小中高向けの理科総合カタログと しては、「内田洋行」「ケニス」「島津理化」「ナリカ」「ヤガミ」の5社が発刊)を参照して商品を選び、購入しています。

学校には大抵の場合、出入り業者(上述5社の販売代理店)が何社かあり、先生からの注文をお聞きし、手配・納品を行います(出入り業者は学校向け参考書・問題集販売会社、教科書販売会社、学校向け教材販売の専門会社、文房具店が多い)。

こうした出入り業者がメーカー発刊のカタログの配付を行い、学校から注文のあった商品を手配し、学校に届けています。

一部では直販ルートや、ネット販売等も増えてきたので、必ずしもこのような販売方法だけではなくなってきていますが、納品時に設置や使用方法、注意点の説明やメンテナンスを行ったりするなど、日々の業務に忙しい先生方が出入り業者のサポートに助けられていることも多々あるようです。

話を戻しまして、学校関係者以外の人が学校教材を購入するには、東急ハンズやロフト、身近にある場合は先の出入り業者などに問い合わせてみると、取り寄せをしてもらえる場合があります。但し、あくまで学校教材として販売されるものであるため、購入後サポートの難しさや、薬事法等の法令関係上で販売を断られることもあるのであしからず。




学校向けカタログ ~30年前に使ったあの商品も掲載~

教材メーカー各社は基本的に新年度の始まりである4月に新カタログを発刊・配布し、概ね1000ページを超える、一昔前の電話帳クラスの厚みのものとなっています。

学校向けカタログとしては「教材」「ソフト」「消耗品」「施設」等の種類があり、「教材」の中でもアイテム数が多い「理科」や、特徴的な商品が多い「特別支援教育」は単一で「理科カタログ」や「特別支援教育教材カタログ」があるなど、カタログ種類も多岐にわたります。メーカーによって取扱いアイテムや発刊しているカタログの種類は様々ですが、学校用品を総合的に取り扱う内田洋行の場合、分野別に10種類以上のカタログが発刊されています。多くのカタログがe-Bookの形で、ネット上で閲覧できるようになっています。ご興味ある方はこちらからどうぞ。

内田洋行の学校向けカタログ15種

内田洋行の学校向けカタログ15種

初めて教材カタログを見た方は、数十年前に学校で見たもの・使ったものと同じものが、姿かたちを変えずにカタログに掲載され、いまだに販売され続けていることに驚かれることでしょう。学校教材は学習指導要領への対応等から、常に進化を続けていますが、一方で何十年間も同じ商品が姿かたちを変えずに販売され続けているものもあります。

その理由の一つは、購入後の使用期間が世間一般の商品よりはるかに長いという背景があるからかもしれません。例えば年に1回か2回しか使わない実験器であっても、子ども達にとってはそれが生涯唯一の授業となるため、欠かすことはできません。とは言え、学校教材は決して安い買い物ではないですから、一度購入した商品は長く使い続けることも多くなります。

また、グループや個別の実験などでは、学校は同じ種類の実験器を複数台準備しておくこととなります。そうした時に、ある1台が故障・破損した場合などは、極力同じ実験器を補填するのが望ましいですから、これらの需要に応える為、メーカーとしては一度発売した商品は、多少無理をしてでも販売を続けます(近年では学習指導要領の改訂により、先生が全員の前で代表して実験を行う演示実験よりも、グループや個別の実験が推奨されるようになっています)。

学校の理科準備室を見せてもらうと一目瞭然ですが、5年10年どころか、中にはオークションでマニアに高値がつきそうな30~40年前のかなりアンティークな実験器が平然と置いてあることも珍しくありません。

さすがにこのレベルになると、断線による使用上の危険性や、回復不能な経年劣化などにより、修理をお断りしたり買い替えをお勧めしたりしていますが、世の多くの商品で見られる販売期間とは次元が違っていることも一因としてあるようです。

次回は、「ロングセラー商品」「近年ヒットした商品」、また、商品開発者目線による「隠れたおすすめ商品」、さらに、今だから話せる「失敗商品」をご紹介する予定です。

≪第2回へ続く≫

内田洋行教育総合研究所 研究員 田中俊成

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