意外と知らない"英語教育の動向"(vol.2)

意外と知らない

前回から英語教育改革について紹介しています。第2回(後編)は、高等学校の英語教育や大学入試の英語がどのように変わるのかを取り上げます。 話力と思考力を育てる』を参考に、思考力・判断力・表現力とはどのような力なのかを確認し、その後順に見ていきたいと思います。

 

高等学校における英語教育改革

現行の学習指導要領で目標とされている高等学校卒業時の英語力のレベルはCEFR A2~B1程度、つまり英検準2級~2級程度とされています。これに対し、前回ご紹介した「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」では、このレベルから1段階上のCEFR B1~B2程度、つまり英検2級~準1級、TOEFL iBT57点程度以上を目指すことが示されています。

これまでの授業では、与えられた英語の文章を読んで理解することや、テーマに合わせて英作文を行うことのできる力の育成が目標とされていましたが、次期学習指導要領では英語の文章を読むなどして得た情報を基に課題研究し、英語で発表するような能力が目標とされるようです。英語“を”学ぶというよりは、英語“で”学ぶ姿を目指していることが読み取れます。

高校3年生を対象とした平成26年度「英語教育改善のための英語力調査」の結果から、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能全てにおいて課題があることがわかりました。そこで、文部科学省は学習指導要領の改訂に先行して、順次下記のような改革を進めることを発表しました。

「生徒の英語力向上推進プラン」(平成27年6月5日)

  1. 生徒の英語力に係る国の目標を踏まえた都道府県ごとの目標設定・公表を要請する。
  2. 「英語教育実施状況調査」」に基づく都道府県別の生徒の英語力の結果を公表する。(平成28年度から実施)
  3. 義務教育段階の中学校については、英語4技能を測定する「全国的な学力調査」を国が新たに実施することで英語力を把握する。
  4. 中・高・大学での英語力評価及び入学者選抜における英語の4技能を測定する民間の資格・検定試験の活用を引き続き促進する。

これらの改革を行いながら、授業での指導で4技能を重視するだけでなく、大学入試も一体となって、4技能を重視することが示されました。

大学入学希望者学力評価テスト(仮称)

大きな課題であったものの実現が難しかった「高大接続」改革を実現するための方策として、中央教育審議会は、平成26年12月の答申で、現行の「知識・技能」を問う問題中心のセンター試験を廃止し、平成32年度より、「思考力・判断力・表現力」を中心に総合的な評価ができる「大学入試希望者学力評価テスト(仮称)」を実施することを提案しました。

高等学校教育と大学教育とを接続する重要な役割を担うのが大学入学者選抜であり、それぞれの教育目標を果たしながら、スムーズな接続を実現することが目的とされています。「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では、知識の記憶力などの測定しやすい能力だけを測る従来型の入学者選抜からの脱却を目指しており、その在り方について下記のように示されています。英語に関しては、「4技能の総合的な評価」「民間の試験・検定試験の活用」が話題になっています。

「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の在り方

  • 「合教科・科目型」「総合型」の問題を組み合せて出題する。
  • 多肢選択方式だけでなく、記述式を導入する。
  • 年に複数回の受験機会を設ける。
  • CBT方式での実施を前提に検討する。
  • 英語では、4技能を総合的に評価する(民間の試験・検定試験の活用も視野に入れる)。
  • 海外からの受験も可能にする。

外部試験の活用

この中央教育審議会からの答申を受けた文部科学省は、 平成27年1月に「高大接続改革実行プラン」を発表し、上記の提案を踏まえた「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の検討を進めています。また、教育の質の確保・向上を図り、生徒の学習改善に役立てるため、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入も予定されています。

「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」及び「高等学校基礎学力テスト(仮称)」における英語の試験では、「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」が設置され、実用英語技能検定、IELTS、TEAP、TOEFL Junior Comprehensive等の「聞く」「話す」「読む」「書く」を網羅した4技能型の試験活用が検討されています。これらの試験では、統合型スキルが求められる傾向にあります。例えばスピーキング課題の一例として、2~3分の英語のナレーションを聞いて理解した内容を、準備時間の後に1分程で要約して話す、といったような設問もあります。次期指導要領で目標とされるような、「英語の文章を読むなどして得た情報を基に課題研究し、英語で発表するような能力」を身につけていかないと、対応するのが難しい試験といえるでしょう。各々のテストについては、上記協議会に参加した六つのテスト主催団体が集まって運営する「英語4技能 資格・検定試験懇談会 英語4技能試験情報サイト」から情報を得ることができます。

おわりに

以上、2回にわたり、英語教育の動向を小学校・高等学校に絞ってお伝えしてきました。2020年の次期学習指導要領の改訂をきっかけに、日本の英語教育はさらなる変化の時を迎えることになりそうですね。

「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」ではCBT方式(Computer Basted Testing、コンピュータ使用型の試験)がとられるようです。日常的にICT端末に触れている世代は、コンピュータで試験を受けることに抵抗はないかもしれません。しかし、CBTテストでは、デスクトップPCやノートPCを使い、キーボード入力で記述をする課題もあります。「文字を打つ」=「親指でのフリック入力」である世代には、記述式の問題を解くために、タイピングの練習が必要になるかもしれませんね。 

≪おわり≫

構成・文:内田洋行プロダクト企画部 須藤綾子

※写真・文の無断使用を禁じます。