意外と知らない"カリキュラム・マネジメント"(第1回)~管理職だけじゃない、全ての教職員で取り組む授業改善~

 

今年度(2020年度)から小学校では全面実施となった新学習指導要領。その新学習指導要領の中で、キーワードの一つとなっているのが"カリキュラム・マネジメント"です。新型コロナウイルス感染症拡大によって、教育現場にも大きな混乱が起こっていますが、このような状況下でこそ、"カリキュラム・マネジメント"は重要な観点です。この"カリキュラム・マネジメント"のポイントについて解説します。

 

カリキュラム・マネジメントとは

昨今の学校現場からは「教えることがたくさんある」といった教員の声や、「勉強しないといけないことがいっぱいだ」という子供たちの声が聞こえてきそうです。そこで重要になるのが“カリキュラム・マネジメント”です。

カリキュラム・マネジメントとは、教育活動の質を向上させ、学習の効果の最大化を図るために、全ての教職員が参加して学校の特色を構築していく営みです。今年度(2020年度)、コロナ禍における学校休業を受けて、各学校で、制限のある中で何を優先してどうやって取り組むか検討されたことは、“カリキュラム・マネジメント”と言えるかもしれません。

何をどのように育成していくか、考えた内容に取り組むだけでなく、そのカリキュラムが自校にとって適切なのか、また効果的に行われているか、しっかりとマネジメントする必要があります。具体的な内容は、各学校の状況によって異なりますが、カリキュラム・マネジメントに取り組むうえで参考となるポイントや事例を紹介します。

カリキュラム・マネジメントの三つの側面

学習指導要領には、カリキュラム・マネジメントについて、次のように記載されています。

児童(生徒)や学校、地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと、教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと、教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと

(小学校:第1章 総則 第1 小学校教育の基本と教育課程の役割 4、中学校:第1章 総則 第1 中学校教育の基本と教育課程の役割 4、高等学校:第1章 総則 第1款 高等学校教育の基本と教育課程の役割 5より)

大きく次の3つのことが書かれていることがわかります。これらは「カリキュラム・マネジメントの三つの側面」と呼ばれています。それぞれの側面について考えてみましょう。

  1. 教科等横断的な視点での取組
  2. 実施状況の評価と改善
  3. 人的・物的体制の確保
  • 教科等横断的
  •  
  • 評価・改善
  •  
  • 人的・物的体制

1.教科等横断的な視点での取組

まずは、自校で育成を目指す資質・能力を明確に!

学校全体で取り組もうとしている教育目標を明らかにした上で、自校として育成を目指す資質・能力に対し、教科ごとにアプローチするのではなく、教科等横断的な視点で組織的に取り組むことが大切です。

そのためにはまず、「自校で育成を目指す資質・能力」が何なのかを明確にし、全教職員が確実に理解する必要があります。この“共通理解”が、カリキュラム・マネジメントにおいて、もっとも重要なポイントです。

共通理解ができれば、全教職員が同じ方向を目指して一丸となって進むことができます。最初にしっかりと時間をかけて議論をして、学校の教育目標の認識を共通化させましょう。全教職員が共通理解することは、とても大変なことです。しかし、これがカリキュラム・マネジメントの礎となります。建物の地盤を固めるイメージです。

また、特に教科担任制である中学校や高校では、どうしても教科間の連携が薄くなってしまいがちです。その際、下記のような「教育課程全体で取り組む課題」を主軸に教科同士を関連させることで、教科横断的な視点で取り組みやすくなるでしょう。

教育課程全体で取り組む課題(現代的な諸課題)の例
  • 情報教育
  • プログラミング教育
  • 伝統や文化に関する教育
  • 主権者に関する教育
  • 消費者に関する教育
  • 法に関する教育
  • 知的財産に関する教育
  • 郷土や地域に関する教育
  • 海洋に関する教育
  • 環境に関する教育
  • 放射線に関する教育
  • 生命の尊重に関する教育
  • 心身の健康の保持増進に関する教育
  • 食に関する教育
  • 防災を含む安全に関する教育
  • キャリア教育 など

例えば、このような取組を1年間のスケジュールとして構成する作業、つまり「教育課程全体で取り組む課題」を主軸として捉えながら、学校全体の年間カリキュラムを編成する作業に全教職員で取り組みます。全教職員で行うことで、「自校で育成を目指す資質・能力」が単なる言葉ではなく、共通のイメージとして認識され、共通理解がさらに深まるでしょう。

このとき、小・中学校であれば「総合的な学習の時間」(高校は「総合的な探究の時間」)を主軸として、教科等横断的にカリキュラムを編成していく例がよく見られます。教科等横断的な視点を意識して年間カリキュラムを検討する際には、例えば、次のようなフォームを活用しながら、教科等横断的な視点で取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

第2回は、「実施状況の評価と改善」と「人的・物的体制の確保」の側面について解説します。

 

構成・文・イラスト:内田洋行教育総合研究所 研究員 眞鍋悠介

 

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