意外と知らない"学校と地域の連携・協働"(第2回)コミュニティ・スクールと地域学校協働本部

 

第1回では、日本各地の学校における多様な活動事例を紹介しました。地域の人々と学校がパートナーとなり、地域文化の継承や、子どもの居場所づくり、家庭教育支援等、活動を継続的に進めている様子が伺えます。学校と地域が双方の目標や課題を共有することで、豊かな学びと地域の活性化の推進が共に目指されています。

第2回では、このような地域と学校の連携・協働を支えるための制度、仕組みについてご紹介します。

 

コミュニティ・スクールとは

あなたの身近な学校は"コミュニティ・スクール"ですか。保護者の方の中でも、意外とご自分のお子さんの通う学校がコミュニティ・スクールかどうか、知らない方がいらっしゃるかもしれません。

日本におけるコミュニティ・スクールとは、学校運営と運営への必要な支援に関して協議する機関である「学校運営協議会」を設置した学校を指します。学校と地域社会の関わりを深めることが双方にメリットをもたらすという考えに基づき、保護者や地域住民が学校運営に参加する学校の在り方です。日本で初めて地域住民が学校運営に参画する制度としては、2000年に学校教育法施行規則に定められた「学校評議員制度」があります。この制度は、校長が必要に応じて保護者や地域住民の意見を聞くことが目的となっています。文部科学省では、社会総掛かりでの学校運営を進めるために、学校運営協議会という合議体が一定の権限と責任をもって意見を述べるコミュニティ・スクールへの移行を推進しています。

2017年度から、各教育委員会に対して、学校運営協議会の設置が努力義務となりましたが、2020年度の調査では、導入率は全国の学校のうち27.2%に留まっています。これを受けて、文部科学省は「コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議」を設置して活動の充実・設置促進策の検討を進め、2021年8月に「中間まとめ」(以降「中間まとめ」)を公表しました。

学校運営協議会の役割と構成員

学校運営協議会の主な機能は、以下の3点です。従来の学校評議員制度における評議員よりも、学校運営協議会の委員がより能動的に学校経営に参画できるように、権限と責任が法律に明記されています。

  1. 校長が作成する学校運営に関する基本方針を承認する
  2. 学校運営に関して教育委員会又は校長に対して意見を述べることができる
  3. 教職員の任用に関して教育委員会に対して意見を述べることができる(例:~の資格を有する教員の配置を要望)

なお、全国の学校のうち24.1%の学校では、法的に定められている学校運営協議会はないものの、意見交換や協議を行う組織が設置されている(いわゆる「類似の仕組み」がある)そうです。前述の「中間まとめ」では、各地の類似の仕組みについても、学校運営協議会とどのような違いがあるか、どのように充実・発展させていけるか、コミュニティ・スクールへの移行にはどのような支援が必要か等について、分析・検討すべきだとされています。

学校運営協議会の導入による主なメリットとして、文部科学省「コミュニティ・スクールのつくり方(学校運営協議会設置の手引き)(令和元年 改訂版)」では以下の3点が挙げられています。

  1. 組織的・継続的な体制の構築=持続可能性
  2. 当事者意識・役割分担=社会総掛かり
  3. 目標・ビジョンを共有した「協働」活動

1つ目のメリットは、校長の異動などに左右されない持続可能性の確保、2つ目のメリットは、合議体として一定の権限と責任をもたせることで、委員の当事者意識が高まると共に、学校側でも説明責任の意識が向上し風通しのよい学校運営が実現すること、3つ目のメリットは目標・ビジョンを共有することで、学校と保護者・地域住民の「協働」活動が豊かになることです。

これらのメリットを活かして地域で学校を支援する取組が充実していくことで、関係する子ども、教職員、保護者、地域の人々すべてに魅力が広がると説明されています。

学校運営協議会の委員は各教育委員会が任命します。委員には保護者や地域住民のほか、大学教授等の有識者、教育委員会事務局職員(指導主事・社会教育主事等)等も含まれることがあり、その学校の教職員がなることも可能です。

コミュニティ・スクール推進の背景

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)制度化は、2000年の教育改革国民会議報告において、新しいタイプの学校「コミュニティ・スクール」の設置促進が提言されたことが端緒となっています。その後、2004年の中央教育審議会答申「今後の学校の管理運営のあり方について」でコミュニティ・スクールの提言がなされ、同年に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が改正されたことで正式に導入されました。

当時の背景としては、地域社会のつながりの希薄化による地域の教育力低下を危惧する声や、不登校、いじめが社会問題となり、学校運営の改善が必要という世論の高まりがありました。そして、現在は学校が様々な環境変化に対応するための自律的な学校運営の必要性が高まっており、それを後押しする仕組みとしてコミュニティ・スクールが期待されています。

社会に開かれた教育課程

2020年度からの新しい学習指導要領の基本理念として「社会に開かれた教育課程」の実現が掲げられています。そこでは教育目標を社会と共有していくことや、これからの社会で求められる資質・能力を明確化すること、地域の人的・物的資源の活用や社会教育との連携がうたわれています。

コミュニティ・スクールの機能が教育課程の改善・充実につながるためには、学校運営に地域や保護者の声が反映できるような十分な説明、意見交換の場と、教育活動を充実させるための具体的な支援体制の構築が必要です。教育活動の充実につながる学校や地域のための様々な企画・運営を進めているのが次に紹介する「地域学校協働本部」です。

地域学校協働活動

地域学校協働活動とは、地域の高齢者、成人、学生、保護者、PTA、NPO、民間企業、団体・機関等幅広い地域住民等の参画を得て、地域全体で子どもたちの学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」を目指して、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う様々な活動の総称です。

この地域学校協働活動を推進する体制として、2015年の中央教育審議会の答申で「地域学校協働本部」が提言されました。幅広い地域住民や団体等の参画により形成された緩やかなネットワークで、様々な形態がありますが、下記の3要素を必須とすることとされています。

  1. コーディネート機能
  2. 多様な活動(より多くの地域住民等の参画による多様な地域学校協働活動の実施)
  3. 継続的な活動(地域学校協働活動の継続的・安定的実施)

2017年度からこのような「地域学校協働活動」の調整等を担う地域学校協働活動推進委員(コーディネーターと呼ぶ地域もあります)等を学校運営協議会委員に任命することも規定されました。地域学校協働活動推進員等のコーディネーターが配置されている場合、そうでない場合に比べて「特色ある学校づくり」「教職員が子どもと向き合う時間」等が増えたという調査結果が「中間まとめ」で紹介されています。同時に、コーディネーターが配置されている学校の方が、「学校運営協議会の活動が学校運営に有益である」と感じている割合が高い傾向にあるということでした。2021年度予算からは地域学校協働活動推進員等の配置・機能強化のための予算も組まれています。

今回紹介した仕組みが導入後に形骸化せず、真に学校の運営改善と豊かな学び、地域の活性化につながるためには、都道府県教育委員会等による継続的な支援体制や、総合調整・事務局機能を担う人員(コーディネーター)の配置・育成等が重要です。また、GIGAスクール構想により、急速に進んだ学校へのICT導入、新型コロナウイルス感染拡大という環境下において、これまで取り組んできた活動がどのように変化、発展していくべきかについては各自治体、学校で喫緊の課題となっています。

最終回となる第3回では、学校と地域の連携・協働の在り方について、2020年からの最新事例を紹介するとともに、今後に向けた検討事項、発展の可能性についてご紹介します。

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構成・文:内田洋行教育総合研究所 主任研究員 足立智子

 

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